遺体 明日への10日間

「遺体は話しかけられると人としての尊厳を取り戻す」このセリフが、セミドキュメンタリーであるこの作品のテーマになっている。
公けの場で初めて明らかにするのだが、俺は3・11直後の5月〜同年12月まで、亡くなられた被災者全員の神道式鎮魂慰霊祭を執り行った。自分が言い出しっぺだったか、誰かに言われてやり始めたのかどうかは定かではない。しかも、途方もない数の被災者を弔うという行為に、絶対的な確信がある訳ではなかった。おまけに御遺体を目の前にしているわけではないし、御遺族から依頼があったわけでもない。正直メチャクチャしんどかった。途中で何度も投げ出そうと思った。だが、もう一ヶ月だけ続けよう、最後にあともう一ヶ月だけ続けよう。そんな思いを積み重ねながら、月に一回づつ継続していった。そして2011年末に、もういいだろうと区切りをつけ、8ヶ月間続けた慰霊祭を終えた。果たして正しかったのかどうかさえわからないまま。
時は流れ2014年末、この映画を観た。そして冒頭に記した主人公のセリフでやっと何かが報われたような、そんな気がしたのです。
映画「遺体 明日への十日間」予告編

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